昔の意味が、今の隠された意味になるわけではない

niceには、昔は「愚かな」などを表した歴史があります。現在は「親切な」「感じのよい」などの意味で使われます。古い語義を今の挨拶や褒め言葉へそのまま当てはめません。

「niceは昔、『愚かな』という意味だった」と聞くと、Nice to meet you. まで違って見えるかもしれません。でも、昔の意味を知ったことで、今の挨拶が悪口になるわけではありません。niceは、言葉の来歴と現在の使い方を分けて読むのに向いた一語です。

今のniceは、何を「よい」と言っている?

nice は、人なら「親切な」「感じのよい」、時間や出来事なら「楽しい」「心地よい」などを表します。今読んでいる文で何を説明しているかによって、日本語も変わります。

We had a nice afternoon by the river. なら「川のそばで楽しい午後を過ごしました」。ここでのniceは、その時間が心地よかったという感想です。語源を知る前と同じように、現在の語義と文の状況から読めます。

来歴をたどると、「知らない」「愚かな」に出会う

Merriam-Websterの語源欄では、niceはアングロフランス語を経て、ラテン語の nescius「知らない、無知な」へつながります。中英語では「愚かな」といった、今よく使う意味とは異なる語義がありました。

この来歴が教えてくれるのは、同じ形の語でも、時代とともに意味が動くということです。「ラテン語の意味こそが、今も隠れている本当の意味だ」とは言えません。

同じniceでも、読む欄を分ける
語の来歴
ラテン語の「知らない」に関わる語へつながり、中英語には「愚かな」などの語義があった。
現在の用法
人の親切さ、感じのよさ、楽しい時間などを、文脈に合わせて表す。

二つは「正解」と「間違い」の対比ではなく、違う時代についての説明です。

niceを見たら、どんな文でも「よい」で済む?

現在の意味にも幅があります。たとえば a nice distinction では、niceが「微妙な」「精密な」といった意味を担うことがあります。「すてきな区別」とだけ訳すと、文章の要点を取り逃がします。

昔と今を分けるだけでなく、今の語義の中でもどれが合うかを選ぶ必要があるのです。辞書の最初の訳だけで文がつながらないときは、ほかの語義と用例も見てみましょう。

昔の意味から、話し手の本心を決めない

誰かのniceが褒め言葉か、皮肉かを考える場面でも、手がかりはその会話です。何が起きたあとに言ったのか、どんな口調だったのか。古い語義を当てはめて、隠れた悪意を読み取ることはできません。

語源は、言葉をもう少し面白く見るための知識です。目の前の相手が何を伝えているかは、今の用法と文脈に戻って考えます。辞書には「今どう使うか」と「どういう道を通ってきたか」の両方が載っている。その二つを行き来できると、niceの小さな歴史を会話の読み違いにせず楽しめます。

楽しかった時間を、今のniceで伝える

川のそばで午後を過ごした、という作例です。場所や時間を自分の経験へ替えられます。

場面に合わせて変えられる例文

We had a nice afternoon by the river.

川のそばで楽しい午後を過ごしました。

ここでのniceが何を説明しているか、afternoonと結びつけて読んでみましょう。

本文を見ずに考えてみる:niceの古い語義に「愚かな」があれば、今のniceも必ず皮肉でしょうか。

考え方と答えを確認する

そうは言えません。現在の語義と、その場の文脈や口調を見ます。昔の意味だけで話し手の意図は決まりません。

現在の語義と来歴を確かめた資料

  • Merriam-Webster:nice — 現代語義、微妙な/精密なという用法、中英語・アングロフランス語・ラテン語への経路。