聞き取れなかった箇所を、文字と照合する

文字でも意味が分からないなら語句を確認し、文字なら分かるなら実際の音と照合します。短い音声を聞き直したあと、依頼や確認など発言の役割を考え、一言返すところまで試してみましょう。

英文を見れば分かるのに、会話の音声では聞き取れない。そんなときは、知らない単語を増やす前に、文字で知っている表現と実際の音がどこで結び付かなかったのかを確かめてみましょう。ここでは短い会話を使って、音を聞くことと意味に返すことを分けて練習します。

文字を見ても分からないのか、音になると分からないのか

一度聞いたあと、スクリプトを読んでみます。文字でも意味が取れなければ、語句や文の意味を先に確認します。文字なら分かるのに聞き取れなければ、その箇所を音声と照合する練習へ進めます。

照合して分かったこと次に確かめること
文字でも意味が分からない単語・まとまった表現・前後の話の意味
意味は分かるが、音を区切れない弱く聞こえる語や、語の境目がつながる箇所
文は分かるが、何のための発言か迷う依頼・確認・誘いなど、会話の中での役割
意味も役割も分かるが、返事が出ない承諾・断り・聞き返しなど、その場での一言

これは自分で練習箇所を選ぶための目安です。録音の音質や話題へのなじみも聞き取りに関わるため、一つの原因だけで説明しきろうとしなくて構いません。

会話では、単語の境目に毎回隙間があるわけではない

英語の続いた発話では、語と語の音がつながったり、強調しない語が弱い形で発音されたりします。辞書で一語ずつ聞いた音を、そのまま同じ強さで並べた音とは違う場合があります。

たとえばandやtoなどは、前後の音や強調の有無によって聞こえ方が変わります。ただし「この綴りは必ずこのカタカナになる」と固定すると、別の話者や別の強調に対応しにくくなります。手元の音声で、どの語が強く、どこが短く聞こえるかを確かめましょう。

チャンクは、意味や役割のまとまりとして扱う表現です。チャンクの境目が、いつも音声の休止と一致するわけではありません。まとまりを覚えることと、実際の音を照合することを一緒に進めます。

短い音声を「聞く→照合する→もう一度聞く」で確かめる

音声と正確なスクリプトがそろった、短い教材を一つ用意します。はじめは一つの発言を止めて確認できる長さで十分です。次の手順は練習の一例で、決まった回数や日数で効果を保証するものではありません。

  1. 文字を閉じて聞く。何の話か、相手が何を求めたかを自分の言葉でメモします。
  2. スクリプトを読む。聞き取れなかった箇所だけ印を付け、意味を確認します。
  3. 文字を見ながら同じ箇所を聞く。強く聞こえる部分、弱く聞こえる部分、境目が分かりにくい部分を探します。
  4. 文字を閉じて再び聞く。全文を書き取ることだけでなく、発言の役割が分かるかを確認します。
  5. 相手への返事を一つ言う。聞いた内容を使って返します。

聞き取りを書き留めるときは、正しいか分からない箇所を空欄にして構いません。スクリプトとの違いは失点ではなく、次に聞く箇所を見つける材料になります。

聞こえた英文の意味から、返事を選ぶ

次は音声そのものではなく、発言の役割を考えるための文字の作例です。Could you say that again? と言われたら、相手は直前の発言をもう一度聞きたいと考えられます。日本語訳を思い出すだけでなく、どこを繰り返すかを選んでみます。

聞き返しを受けて、必要な情報を言い直す作例

A: The class starts at ten.
B: Could you say that again?
A: At ten. Ten in the morning.

A:授業は10時に始まります。
B:もう一度言ってもらえますか。
A:10時です。午前10時です。

時刻を変えたら、返事も変わります。覚えた一文を同じ形で再生するだけでなく、その場の情報を入れ替えられるかを試しましょう。

音読が追い付かないときは、一度止めてまねる

聞きながら少し遅れて声を重ねるシャドーイングが難しければ、短い発言を聞き終えてから止め、自分で言ってみる方法を選べます。意味が分からないまま速度だけを追うより、どこを言っているのか確かめられる長さへ戻します。

声に出せたことだけで、別の会話も聞き取れるようになったとは判断できません。同じ表現を別の場面で聞いたときに意味が取れるか、少し間を空けても役割が分かるかを、別に確認してみてください。

教材を選ぶなら、音声と文字を照合できるかを見る

無料教材でも手持ちの教材でも、音声に対応するスクリプトがあり、短い箇所へ戻って聞けるものなら、この練習に使えます。語の意味を確認できることと、会話全体の状況が分かることも選ぶ目安です。

このページの英文には専用音声を付けていません。実際に耳で確かめる練習には、教材側で再生できる音声を使ってください。文字の作例を読めたことと、音声を聞き取れたことを分けて記録しましょう。

一つの音声で、分からなかった箇所を記録する

手持ちの教材から、音声とスクリプトがそろった短い発言を一つ選んでください。

「最初に聞き取れなかった箇所」「文字を見て分かった意味」「もう一度聞いて気付いた音」「相手に返す一言」をメモします。確かめられなかった箇所は、そのまま次回の確認用に残します。

本文を見ずに考えてみる:同じ音声に合わせて声を出せました。これだけで、別の会話でも聞き取れるようになったと判断できますか。

考え方と答えを確認する

それだけでは判断できません。文字を閉じても意味が分かるか、別の発言で同じ表現が出ても役割が分かるかを、別に確かめます。

用法・練習の背景を確かめた資料