sの音が消えた、とだけ考えない

islandには、別の「島」を表すisleとの関連づけからsを含む綴りが広がった歴史があります。昔から発音していたsを省略した、という単純な説明ではありません。

island は「島」。つづりにsがあるのに、発音は「アイランド」に近く、sの音がありません。昔は発音していて、後から消えたのでしょうか。この語では、むしろ文字が後から入り込んだ歴史が関わっています。

islandのsは、発音と一緒に受け継がれた文字ではない

現代の island の発音では、sを読みません。古い英語の形には、このsがありませんでした。英語史の解説では、別の「島」を表す語 isle と関連づけられたことで、sを含む綴りが広がったとされています。

このため「sを発音するのが面倒になって省略した」という筋書きでは、islandの経緯を説明できません。音の変化を見る前に、いつその文字が現れたかを確かめる必要があります。

ilandが、isleと結びつけて考えられた

古英語には īegland や ēaland という形があり、中英語では iland、yland などが使われました。そこへフランス語を経由した、同じく島を指す語が入ってきます。

その語はラテン語の insula と結びつけられ、sを含む isle という綴りを持つようになりました。英語のilandもisleと関連づけて考えられ、islandという綴りが定着していきます。

受け継いだ形に、別の語との連想が重なった
古い英語からの道
īegland / ēaland → iland / yland
綴りへの影響
isleとの関連づけ → island

islandがもともとisleとlandを組み合わせてできた、という図ではありません。

iの音が変わった話は、sの綴りとは別

islandの最初のiは /aɪ/ という音です。この母音には、大母音推移と呼ばれる歴史的な音の変化が関わります。

一方、sが書かれるようになったのは、isleとの関連づけによる綴りの話です。「iが変わったからsを読まなくなった」のように、二つを一つの原因でつなげないようにしましょう。

英語の綴りには音の歴史だけでなく、書き手が語をどう理解したかも残っています。発音と綴りが一対一で対応しない理由は、語ごとに違うのです。

黙字を見つけたら、同じ理由だと決めない

読まない文字を見つけると「英語は不規則だ」で終わらせたくなります。islandのように、別の語との連想から文字が加わった例を知ると、調べる問いを少し具体的にできます。

「昔の音が残った文字なのか」「後から綴りに加わったのか」。すべての黙字を分類し終える必要はありません。まずislandの一語について、発音からsが消えた話ではなく、綴りにsが入り込んだ話として覚えてみてください。

島の話を、sを読まずに言ってみる

島を訪れたという作例です。islandのsに音を足さず、文の中で読んでみましょう。

場面に合わせて変えられる例文

We visited a small island last summer.

去年の夏、小さな島を訪れました。

綴りを見て迷ったら、辞書の発音記号や音声でislandを確認します。iの音と、読まないsを分けて意識しましょう。

本文を見ずに考えてみる:islandのsと最初のiの音は、同じ一つの変化で説明できるでしょうか。

考え方と答えを確認する

別の経緯です。sはisleとの関連づけによる綴りへの影響、iの音は歴史的な母音の変化に関わります。

来歴を確かめた資料