「今日の説明、分かりやすかったよ」と褒められたのに、とっさに「いえ、全然だめでした」と返してしまった。嬉しかったことも伝えたいなら、まずThank you.で受け取り、話したい事実を一つ添えます。自分では課題が残ったと思っていても、お礼は言えます。
ここでのitは、相手が褒めた説明や資料などです。Thank you.は「私は完璧です」という自己評価への同意ではなく、相手が伝えてくれた言葉へのお礼として使えます。長い返答を用意できなければ、Thank you.だけで終えても構いません。
仕事、英語力、服装・持ち物での返し方と、褒め返す場合の選び方を見ていきましょう。嬉しくない外見へのコメントを止めたいときの言い方も、後半で紹介します。
謙遜を「全否定」へ訳さず、伝えたい気持ちを残す
日本語の「そんなことないです」には、照れ、遠慮、自信のなさなど、いくつもの気持ちが入ります。英語でNo, I’m terrible.(いえ、私はひどく下手です)と返すと、自分を強く否定する内容になります。言いたいことが「まだ練習中だけれど、褒めてもらえて嬉しい」なら、その二つを言葉にできます。
| 言いたい気持ち | 強い否定へ寄せた返答 | 気持ちに合わせた返答 |
|---|---|---|
| 嬉しいが、まだ練習中 | No, I’m terrible. | Thank you. I’m still practicing. |
| 準備中は自信がなかった | No, it wasn’t good at all. | Thanks. I wasn’t sure how it would go, so I’m glad to hear that. |
| 自分一人の成果ではない | I didn’t do anything. | Thank you. The whole team worked on it. |
右の列は順に「ありがとう。まだ練習中です」「ありがとう。うまくいくか不安だったので、そう聞けて嬉しいです」「ありがとう。チーム全体で取り組みました」という意味です。実際に自分も作業をしたなら、「何もしていない」と消さず、ほかの人の貢献を加えられます。
謙遜や冗談がいつも失礼になるわけではありません。親しい間柄では軽い否定も会話になります。ただ、相手に「そんなことないよ」と何度も言い直してもらう流れを避けたいなら、受け取ってから自分の状況を添える形が使えます。
仕事を褒められたら、役立ったことと貢献を返す
説明、資料、段取りを褒められた場合は、「役に立って嬉しい」「そこを工夫した」と返せます。成果を大きく言い直す必要も、苦労を長く説明する必要もありません。
自分が工夫した部分を、一言だけ話す
B: Thank you. I’m glad it helped. I tried to keep the steps clear.
B: ありがとうございます。役に立ってよかったです。手順がはっきり伝わるように意識しました。
I tried to…は、この場面では「〜するように努めた」という説明です。「完璧に説明できました」と言う代わりに、実際に意識したことを共有しています。短く終えたいなら、最初のThank you. I’m glad it helped.までで十分です。
共同成果なら、自分も仲間も消さずに受け取る
a team effortは、チームで力を合わせた成果という意味です。名前と担当は作例なので、実際に共有してよい範囲に直します。自分の担当も一緒に述べれば、「私ではありません」とすべてを引く必要はありません。
一方、本当はMayaが作った資料なのに自分の仕事だと思われているなら、事実を訂正します。Thank you, but Maya put this together. I’ll pass your compliment on to her.(ありがとうございます。ただ、これをまとめたのはMayaです。褒めてくださったことを彼女に伝えます)と言えます。謙遜することと、担当者の誤解を直すことは別です。
英語力・服装・持ち物には、話したい具体を一つ足す
同じThank you.の後でも、相手が何を褒めたかで続きが変わります。英語力への返答なら練習していること、服装なら自分が気に入っている点など、話してもよい内容を選びます。
| 褒められた対象 | 返答例 | 日本語の意味 |
|---|---|---|
| 英語での話し方 | Thanks. I’ve been practicing speaking more slowly. | ありがとう。もう少しゆっくり話す練習をしているんだ |
| 今日の服装 | Thank you. I really like this color. | ありがとう。この色、すごく気に入っているんだ |
| バッグ | Thanks. It’s a gift from my sister. | ありがとう。姉/妹からの贈り物なんだ |
| 料理 | Thank you. It’s my first time making it. | ありがとう。これを作るのは初めてなんだ |
事実が違う場合は、そのまま使いません。買った店や値段を話したくなければ、説明は足さずお礼だけにできます。褒められたからといって、持ち物の来歴まで答える必要はありません。
英語の課題を話すときも、できたことを取り消さない
B: Thank you. I’ve been practicing short explanations. Phone calls are still a challenge for me.
A: What do you find difficult about them?
B: Following the conversation without seeing the other person.
B: ありがとう。短い説明を練習しているんだ。電話はまだ難しく感じるけれど。
A: 電話のどんなところが難しいの?
B: 相手の姿が見えない状態で、会話についていくところかな。
この返答は「英語はまったくだめ」と全体を否定せず、難しい場面を電話に絞っています。課題について話したくない日は、練習していることまでで区切って構いません。褒められた会話を、その場で学習相談に変える必要はありません。
Your English is good.を嬉しく感じる人もいれば、話の内容を聞いてほしかったのに評価されたと感じる人もいます。嬉しくないときまで大げさに喜ぶ必要はありません。例えば仕事の説明へ戻したければ、Shall we get back to the proposal?(提案の話に戻りましょうか)と話題を移せます。
褒め返すかは、本当に伝えたいことがあるかで決める
褒められた直後に、相手の長所を探して返さなくても構いません。お礼だけでも返答になります。何か伝えたいことがあるなら、同じ強さの言葉を交換しようとせず、実際に感じていることを一つ選びます。
このalsoは、相手の発表についても伝えたい感想があるときのものです。その場で感想を作る必要はありません。自分から褒める内容を具体的にする方法は、外見・性格・行動を褒める英語の例でも紹介しています。
You too.で返せるかは、元の言葉を戻して読む
You look great.(素敵だね)にThanks, you too.と返すなら、相手も素敵だと言っています。自分もそう感じている場面なら使えます。
でも、I like your bag.(そのバッグ、いいね)へのYou too.は、何を同じように返したいかが曖昧です。相手のバッグも気に入ったなら、Thanks. I like yours too.(ありがとう。あなたのもいいね)と対象を示せます。相手がバッグを持っていなければ、この返答も合いません。
仕事への褒め言葉も同様です。相手が発表していないのに「あなたの発表も」と返さないよう、英文を短くする前に、何を褒め返しているか確認します。
外見へのコメントが嫌なら、お礼を挟まず止めてよい
褒めたつもりの言葉でも、受け取りたくない話題はあります。体型や身体へのコメントをやめてほしいなら、嬉しい返答を作るより、その希望を短く伝えられます。
I’d rather not…は「〜はしたくない」という希望、続くPlease don’t…はやめてほしいという依頼です。相手の善意を認める文やお礼を、必ず先に入れる必要はありません。
ここからさらに嫌なことを具体的に伝えたい場合は、不快だと英語で伝えるフレーズを参照できます。国籍や年齢でひとくくりにされたときの説明まで、この場で引き受ける必要はありません。
同じ褒め言葉に、長さを変えて返してみる
次の練習は、気の利いた一言を増やすためではなく、自分が話したい長さを選ぶためのものです。まず「今日の説明は分かりやすかった」と言われた場面を想像してください。
- 一文で終える:Thank you.と声に出す。
- 嬉しかったことを足す:Thank you. I’m glad it was clear.(ありがとう。分かりやすかったのなら嬉しいです)と言う。
- 工夫を話す:Thanks. I tried using a simpler example this time.(ありがとう。今回はもっと簡単な例を使ってみました)と言う。
次に、条件を「チームで作った資料を褒められた」へ変え、自分と仲間の担当を一つずつ入れて返します。最後は「今日は自分の外見を話題にしたくない」へ変え、お礼の形に戻さず、話したくないことを一文で伝えてみてください。
嬉しい言葉には短くお礼を言い、付け足したい事実があれば一つだけ話す。嬉しくない話題なら、その希望を伝える。いつも同じ反応をしようとせず、その場の気持ちに合う返答を選べます。